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「コンタクトレンズをつけたまま寝てはいけない」とよく言われますが、なぜでしょうか?つけたまま寝るとどうなりますか?
「腹が減っては戦はできぬ」という言葉があります。物事に取り組むときは、空腹では身が入らず成果が出ないという諺です。
角膜は上から上皮、ボーマン膜、実質、デスメ膜、内皮の5層からなっており、コンタクトレンズはその中の上皮の上に覆い被さることになります。角膜上皮のエネルギー源は主にグルコースの代謝によって得られますが、その代謝に不可欠な酸素は約9割が大気中より供給されています。
目を閉じている場合には、目を開けている場合の約3分の1の酸素分圧しかありません。
そこで酸素透過性の良くないコシタクトレンズを装用したまま寝てしまうと、角膜上皮に行きわたる酸素はさらに減ることになり、好気性解糖と比べ随分エネルギー効率の悪い嫌気性解糖にシフトしてしまいます。その結果「腹が減った」角膜上皮は正常な細胞分裂が出来ず上皮障害を生じたり、菌やウィルス等に対する「戦ができず」感染をおこしたりします。
さらに代謝産物の乳酸やニ酸化炭素が実質に移行し、アシドーシスから浸透圧変化を引き起こし、角膜の浮腫を生じることで視カが低下する危険性があります。
一方で、オルソケラトロジーという寝ている間に装用し、日中は裸眼で生活するという特殊なレンズもあります。
つまり眼科医からフィッティングを含めて適切なレンズの処方をうけ、用法を守って使用していくことが目の健康を守るために何より大切ということになります。
(執筆:椋野洋和)