神戸市長田区|日曜日・祝日診察 年中無休 白内障 緑内障 網膜剥離 角膜移植
糖尿病網膜症の治療法のうち、レーザー治療について教えてください。
神経障害、腎症にならんで糖尿病の三大合併症にかぞえられる網膜症。厚生労働省の統計によると糖尿病網膜症は視覚障害の原因疾患として第三位となっています。
糖尿病網膜症は単純網膜症→前増殖網膜症→増殖網膜症の順に進行し、通常、増殖網膜症になるまでは強い自覚症状がありません。一般的には増殖網膜症への移行を遅らせるために前増殖網膜症の段階でレーザー治療をおこないます。
糖尿病網膜症では、網膜に血流の悪い虚血の部位が出現し、網膜が酸素不足になります。酸素不足を改善しようと新生血管が生じますが、残念ながらこれは破れやすい偽物の血管で増殖膜を形成しやすい特徴があります。結果、眼内に出血したり(硝子体出血)、形成された増殖膜が網膜を引っぱって網膜剥離をおこしたりして、視機能が大きく低下します。
レーザー治療の目的は①酸素不足になった網膜を間引き酸素需要を減らし新生血管を予防すること②それにより増殖性変化を抑制すること③特に重要な黄斑部への酸素供給することの三つです。レーザー治療で黄斑浮腫の悪化などから視力低下する場合もあり、この治療は視力改善のためというよりは、あくまで網膜症の進行、失明予防のためにおこなうことになります。
つまり、内科での糖尿病自体のコントロールが大前提であるとして、自覚症状がない段階から定期的に眼科受診もあわせておこなうことが非常に大切ですのでよろしくお願いいたします。
(執筆:椋野洋和)