神戸市長田区|日曜日・祝日診察 年中無休 白内障 緑内障 網膜剥離 角膜移植
羊膜を「眼の病気」に使うことがあると聞きました。一体、どういったものなのでしょうか。
それは羊膜移植という手術です。日本では1990年代後半に行われるようになり、2003年には高度先進医療として認定され、2014年には保険適応となりました。
角膜の小さな穿孔や保存的治療に抵抗する角膜の上皮欠損、再発した翼状片、酸やアルカリの薬剤が飛入する事による角膜外傷、角膜が白くむくんでしまう水疱性角膜症の疼痛コントロールなどが適応になります。
羊膜は、お母さんのお腹の中で、赤ちゃんを包んでいる半透明の薄い膜です。どうして先程列挙したような眼の病気に用いられるのでしょうか?
それは羊膜には、特殊なコラーゲンで出来ており薄いが弾力性に富んでいる、血管がなく拒絶反応が少ない、炎症や繊維化を抑える働きがあるなどの特徴があるからです。つまり、赤ちゃんを守るためのいろいろな特徴が、眼の表面の病気を治すためにも役に立つという事になります。
帝王切開をうける妊婦さんに同意を得て提供していただいた羊膜は、おひとりから20人以上の患者さんの手術に必要な量が採取できると言われています。病気の原因と手術の目的に応じて羊膜の上皮面を上にして移植したり、上皮面を下にして移植したり、詰め物のように用いたり、或いはそれらを組み合わせたりして手術は行われます。
羊膜移植は日本角膜学会に認定された羊膜移植実施施設で同じく認定を受けた羊膜移植術者が行います。適応も含めて詳しくは病院にてご相談下さいますようお願い致します。
(執筆:椋野洋和)